新潟県上越市にある春日山城跡。
2009年の大河ドラマ「天地人」の前半の舞台になった春日山城の跡地です。
この城の城主といえば、有名武将の上杉謙信。
天地人では阿部寛さんが演じ、ドラマの前半部分で主人公直江兼続や景勝に大きな影響を与える重要人物です。
歴史好きなら、「謙信がどんな所に住んでいたんだろう」と行ってみたくなりますよね。
春日山城跡を散策するなら、上杉謙信やこのお城で起こった「御館(おたて)の乱」について知ってから行くのがオススメ。
大河ドラマ「天地人」では、御館の乱が第10~15話のなんと6話分にもわたって丁寧に描かれています。
天地人ゆかりの地、春日山城跡の見どころを紹介する前に、上杉謙信と御館の乱について簡単に分かりやすく紹介したいと思います。
春日山城主 上杉謙信
春日山城についてまず外せないのが上杉謙信。
(謙信は何度か名前が変わりますが、便宜上「上杉謙信」で統一します)
ざっくりとこんな感じの人です。
- 戦国最強の武将、軍神
- 義の精神を重んじる
- 酒豪、女性説あり
14歳の初陣から70回以上の戦をして負けたのは2回だけ、引き分け25回。
家臣も猛将・智将ぞろい。
これだけ強いのに、侵略のための戦いは好まず、義の精神で戦うという戦国時代ではちょっと珍しい武将です。
「義」とは「正しい行いをする」ということ
つまり、侵略のような「秩序を乱すやつは許さない」という感じです。
とても強いので、周辺の色んな武将が謙信に助けを求めてきますが、そのたびに協力してあげます。
まさに戦国時代のスーパーヒーローです。
上杉謙信の最大のライバルが武田信玄。
謙信のもとには武田信玄に侵略されて逃げてきた人が多かったので、謙信は侵略を繰り返す信玄の討伐に動きます。
これが有名な川中島の戦いですね
謙信と信玄は合計5回も川中島で戦うことになり、全て引き分けでした。
特に第4次川中島の戦いは最も激戦で、有名な逸話がたくさん残っています。
謙信と信玄が一騎打ちをしたという伝説もあり、大河ドラマでは大きな見せ場として何度か描かれています。
上杉謙信は戦の神である毘沙門天を深く信仰し、戦の前には戦勝祈願をしていました。
春日山城跡には毘沙門堂が復元されています。
大河ドラマ「天地人」では阿部寛さん演じる上杉謙信が、毘沙門天像を前に座禅を組むシーンが何度も出てきます。
また、謙信は生涯独身を貫いたため「女性なのでは?」という噂もあります。
この時代、これだけ強い武将が妻を娶らず実子もいないというのはかなり珍しい。
謙信女性説を題材にした「雪花の虎」という漫画もあります。
「東京タラレバ娘」等で人気の漫画家 東村アキコさんの作品で、これを読むともう謙信が女性としか思えなくなります。
こんな感じでとても魅力的な人物像の上杉謙信。
しかし1578年、謙信は49歳で突然かわや(トイレ)で倒れて亡くなってしまいます。
遺言もなく強いあるじを失った家臣たちは、すぐに統率が乱れていきます。
御館の乱が勃発
実子のいない謙信には2人の養子がいました。
上杉景勝と上杉景虎。
景勝は、上杉謙信の甥(姉の子供)であり、上杉の血をひいています。
景虎は、上杉家と北条家が同盟を結んだ際(越相同盟)、北条家からの人質として謙信の養子になります。
上杉景勝と景虎、名前が似ててややこしい。「勝」と「虎」が違うだけなのね。
景虎はかなりのイケメンだったようで、謙信は自分が子供の時の「景虎」という名前を与えるほどかわいがっていたようです。
「天地人」では玉山鉄二さん演じる景虎が凛々しくて気品があり、本当に景虎にピッタリでした。
景勝24歳、景虎25歳と歳も近い2人。
謙信の死後、どちらを主にするか家臣同士の争いが始まります。
これが「御館の乱」という、景勝と景虎の跡目争いです。
まず景勝勢が、謙信が住んでいた春日山城の本丸を占拠し金蔵や軍備を抑え、後継者であることを宣言します。
一方、景虎は自分の屋敷がある三の丸にこもります。
景勝派には、謙信に古くから仕えていた家臣の多くが付きました。
この中には、「天地人」の主人公 直江兼続もいます。
(このころは「樋口兼続」ですが、便宜上「直江兼続」とします。)
景虎派には、前関東管領の上杉憲政や景虎の実家である北条、北条と同盟を組んでいた武田など、外部の人が多かった。
他にも周辺豪族などもそれぞれの思惑から景勝方、景虎方に付き、周りを大いに巻き込んでいきます。
大河ドラマ「天地人」では、北村一輝さん演じる景勝が兄弟で争うことをためらいますが、妻夫木聡さん演じる直江兼続が景勝を必死に説得するシーンがあり、気迫に圧倒されます。
春日山城での戦いは2か月に及び、本丸から三の丸へ攻める景勝方が有利でした。
景虎は長期戦に備えるため、春日山城の三の丸を出て3.5km程離れた御館へ移ります。
そして、実家の北条などへ援軍要請を出します。
景虎は形勢を立て直し、巨大勢力の北条と武田がバックについていることで景虎が有利に。
「天地人」では景勝方が不利になる中、妻夫木聡さん演じる直江兼続が周辺の豪族や武田に協力してもらうために奔走します。
窮地に陥りながらもあきらめない兼続の情熱がすごい!
この時、景虎方に付いていた北条と武田は同盟を結んでいましたが、お互いに不信感を募らせていました。
そこへ景勝方が武田勝頼へ和睦を持ち掛け武田が寝返ったことで、景勝方が有利になります。
上杉と武田の同盟の証として、武田勝頼の妹菊姫が人質として景勝に嫁ぎます。
「天地人」では比嘉愛未さんが菊姫を演じていましたが、気高くて美しかった。さすが信玄の娘!
ここへきて、景虎方の味方の離反が多くなり窮地に立たされた景虎は、景勝に和睦を求めます。
和睦の証として、景虎は9歳の息子道満丸を人質として春日山城へ向かわせますが、道満丸は道中で殺されてしまいます。
「天地人」でも出てきましたが、道満丸がかわいいだけにつらいシーンでした
その後景勝軍が御館を総攻撃し、景虎は御館を脱出して鮫ヶ尾(さめがお)城へ逃げます。
しかし、鮫ヶ尾城主の堀江宗親に裏切られ、景虎は自害します。
人質・跡目争い・若くして自害と、景虎はなかなか悲劇の人生だね
こうしておよそ10か月に及ぶ御館の乱は幕を閉じ、上杉景勝が正式に春日山城主となります。
しかし、御館の乱により謙信の時代に培われた上杉家の勢力は大きく衰退してしまいました。
まとめ
春日山城で起きた「御館の乱」は壮大な兄弟ゲンカだけでなく、家臣や他の武将同士の思惑をはらんだ代理戦争にもなっていました。
「謙信さん、ちゃんと後継者決めておいてよ」と思わずにはいられないですね。
御館の乱について知っていると、春日山城跡に行った時の見方が変わると思います。
大河ドラマ「天地人」は、御館の乱はもちろん、直江兼続の幼少期を演じた加藤清史郎さんの泣きの演技が話題になったり、毎回ドラマの最初に書道家武田双雲さんの書が楽しめたりと見どころたっぷりです。
天地人をもう一度見たい方は、NHKオンデマンドで見ることができます。
それでは春日山城跡 見どころ編へ続きます。
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